トルコ料理や中東料理を代表するケバブ。日本では回転する大きな肉の塊を削るイメージが強いですが、実は串焼きのシシカバブなど様々な種類があります。この記事では、それぞれの違いや自宅での楽しみ方、お店で迷わないためのポイントを詳しく紹介します。
ケバブとシシカバブの違いは「肉の形」と「焼き方」で決まる
ケバブ(Kebab)という言葉は、もともと「焼いた肉」を指す非常に広い意味を持つ言葉です。一方でシシカバブは、その広大なケバブの世界の中のひとつに含まれる特定の料理名を指します。両者の最大の違いは、調理される肉の形状と、それをどのように加熱するかにあります。街中でよく見かける回転している肉と、串に刺さった肉は、どちらもケバブの一種ですが、呼び名や仕上がりに明確な差があることを知っておくと、より美味しく楽しめます。
ケバブは回転焼きの薄切り肉が定番
日本で一般的に「ケバブ」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、大きな肉の塊が垂直な棒に刺さり、くるくると回転しながら焼かれている光景でしょう。これは正確には「ドネルケバブ」と呼ばれる料理です。「ドネル」はトルコ語で「回転する」という意味を持ち、味付けした薄切り肉を何層にも重ねて大きな円柱状にし、横からの熱でじっくりと焼き上げます。
焼けた表面を専用のナイフや電動カッターで薄く削ぎ落として提供するのが特徴です。この調理法のメリットは、肉の旨味が外に逃げにくく、削りたての香ばしい外側としっとりした内側を同時に味わえる点にあります。もともとは羊肉が主流でしたが、現在では日本人の好みに合わせて鶏肉(チキン)や牛肉(ビーフ)が使われることが多く、キャベツやソースと一緒にパンに挟んで食べるファストフードとしてのスタイルが定着しています。
シシカバブは串焼きの角切り肉が基本
シシカバブの「シシ」とはトルコ語で「串」を意味します。つまり、シシカバブは文字通り「串に刺して焼いた肉料理」を指します。ドネルケバブが薄切り肉を重ねるのに対し、シシカバブは一口大の角切りにした肉を串に刺して調理します。日本の「焼き鳥」をさらに大きくし、スパイスで力強く味付けしたような姿を想像すると分かりやすいでしょう。
シシカバブは直火や炭火の上で串を回しながら焼き上げます。肉と肉の間にピーマン、玉ねぎ、トマトなどの野菜を交互に刺すことも多く、肉の脂が野菜に染み込み、野菜の水分が肉を柔らかく仕上げる相乗効果が期待できます。ドネルケバブのような薄切り肉の食感とは異なり、肉本来の弾力やジューシーな塊肉の満足感をダイレクトに味わえるのが魅力です。本格的なレストランでは、鉄製の長い串のままテーブルに運ばれてくることもあり、見た目のインパクトも抜群です。
味付けはスパイス系か塩系かで分かれやすい
ケバブ料理全体の味付けにおいて、スパイスは欠かせない要素です。ドネルケバブの場合は、肉を積み上げる段階でクミン、コリアンダー、パプリカパウダー、オレガノなどの粉末スパイスや、すりおろした玉ねぎ、ニンニク、ヨーグルトなどに一晩漬け込むのが一般的です。これにより、肉の臭みが消え、複雑で奥深い香りが生まれます。仕上げにかけられるソース(オーロラソースやチリソース)との相性を考え、少し強めに味付けされていることが多いです。
一方でシシカバブは、素材の味を活かすために、シンプルに塩、胡椒、オリーブオイルをベースとし、アクセントとしてパプリカやタイムを加えるスタイルが目立ちます。特に質の良い羊肉(ラム)を使用する場合は、過剰なスパイスを避け、炭火の香ばしさと塩気で肉の甘みを引き立てます。もちろん地域によってはヨーグルトに漬け込んで肉質を柔らかくする場合もありますが、ドネルケバブに比べると「焼き肉」としての素材感が強調される傾向にあります。
提供スタイルはサンドかプレートかで変わる
食べ方のスタイルも、両者の個性を分けるポイントです。ドネルケバブは、その形状からパンとの相性が非常に良く、ピタパンやトルティーヤに野菜と一緒に詰め込んだ「ケバブサンド」や「ケバブラップ」として提供されるのが主流です。片手で手軽に食べられるため、屋台料理やテイクアウトとしての人気が圧倒的です。最近ではご飯の上に乗せた「ケバブ丼」も日本独自の進化を遂げています。
対してシシカバブは、どちらかというとレストランでゆっくり座って食べる「メインディッシュ」としての立ち位置が強い料理です。串から外された肉が、バターで炒めたピラフ(ピラウ)や焼いた野菜、平たいパン(ナンやラバシュ)と共に一皿に盛り付けられた「プレートスタイル」が定番です。お酒のおつまみとして串のまま豪快にかじる楽しみ方もありますが、基本的にはナイフとフォークを使い、付け合わせの野菜やソースと組み合わせてコースやセットの一部として楽しみます。
ケバブもシシカバブも楽しめるおすすめ商品まとめ
自宅で本格的な味を再現したり、お店のような雰囲気を楽しんだりするために役立つアイテムをまとめました。これらを使うことで、いつもの料理がエキゾチックな一皿に変わります。
| カテゴリ | おすすめの商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|---|
| スパイス | S&B シーズニング ケバブ | 混ぜるだけで本格的な味付けができる | 公式サイト |
| 串・調理器具 | 遠藤商事 ステンレス 魚串 | 丈夫で肉が回りにくい平打ちタイプ | 公式サイト |
| ソース | マコーミック ヨーグルトドレッシング | 爽やかな酸味でお肉がさっぱり食べられる | 公式サイト |
| パン・食材 | デルソーレ ピタパン | 軽く焼くだけで具材を詰められるポケット状 | 公式サイト |
ケバブスパイス(ミックス・クミン・パプリカ)
ケバブの独特な香りを生み出すのは、複数のスパイスの組み合わせです。初心者が一から揃えるのは大変ですが、市販の「ケバブシーズニング」を使えば、肉に揉み込んで焼くだけで、専門店の味に驚くほど近づきます。主な成分はクミン、パプリカ、チリパウダー、ガーリック、オレガノなどで、これらが肉の脂と反応することで食欲をそそる香りが立ち上がります。
特にクミンは、中東料理らしいエキゾチックな風味の要となります。パプリカパウダーは、肉に美味しそうな赤い色をつける役割も果たします。本格派を目指すなら、パウダー状のものだけでなく、ホール(粒)のクミンを軽く炒ってから使うと、香りの立ち方がより一層強くなります。チキン、ビーフ、ラムなど、どの肉の種類にも合うように調合されているものが多いため、まずはミックススパイスから試してみるのが安心です。
串とスキュワー(竹串・金属串・平串)
シシカバブを作る際に欠かせないのが串(スキュワー)です。家庭にある竹串でも作れますが、本格的な仕上がりを目指すならステンレス製の金属串をおすすめします。金属は熱伝導率が高いため、肉の内側からも熱を伝えることができ、中心部までふっくらとジューシーに焼き上げることが可能です。また、重い肉を刺しても折れる心配がなく、洗って繰り返し使えるため環境にも優しいアイテムです。
さらにこだわるなら、断面が平らな「平串」を選びましょう。丸い串だと、肉をひっくり返そうとした時に肉だけがクルリと回ってしまい、片面だけが焦げてしまうことがありますが、平串なら肉をしっかり固定して均一に焼き色をつけることができます。長さは家庭のグリルやフライパンのサイズに合わせたものを選ぶのがポイントです。お庭でのバーベキューなら、30cm以上の長いスキュワーを使うと、見た目も華やかで盛り上がること間違いありません。
ソース系(ヨーグルトソース・チリソース・にんにくソース)
ケバブの味を完成させるのは、お肉の上からたっぷりかけるソースです。日本で人気のチリソースやオーロラソースも美味しいですが、本場の雰囲気を味わうなら「ヨーグルトソース」をぜひ試してみてください。無糖のヨーグルトにすりおろしたニンニク、塩、レモン汁、そしてドライミントやパセリを加えたソースは、スパイシーなお肉の後味を驚くほどさっぱりとさせてくれます。
また、ニンニクをベースにしたホワイトソース(トゥーム)も非常に人気があります。これはマヨネーズよりも軽やかで、パンチのある香りが肉の旨味を倍増させます。辛いものが好きな方は、唐辛子とトマト、様々なハーブを煮込んだ「エズメ」風のソースを添えると、本場トルコのレストランのような本格的な味わいになります。複数のソースを用意して、一口ごとに味を変えながら食べるのが上級者の楽しみ方です。
付け合わせ(ピタパン・トルティーヤ・トマト缶)
ケバブをより満足感のある食事にするためには、パンや野菜の準備が欠かせません。中が空洞になっている「ピタパン」は、ケバブサンドを作るための必須アイテムです。トースターで軽く温めると半分に切りやすくなり、ポケット状の部分に肉と千切りキャベツ、トマト、スライスした玉ねぎをたっぷり詰め込めば、自宅で簡単にケバブショップの味が再現できます。
より手軽に楽しみたい場合は、薄い「トルティーヤ」で具材を巻くラップスタイルも便利です。また、煮込み料理としてのケバブを作る際には、高品質なトマト缶があると重宝します。例えば、トマトベースのソースで肉を煮込み、その下にカットしたパンを敷き詰め、仕上げに溶かしバターをかける「イスケンデルケバブ」風のアレンジも可能です。お米と一緒に食べたい場合は、バターとコンソメで炊いたパラパラのピラフを添えるのが、中東流の美味しい組み合わせです。
料理としての違いを深掘りすると納得しやすいポイント
ケバブとシシカバブを、さらに深く料理の背景から紐解いていきましょう。歴史的な成り立ちや、調理の物理的な違いを理解することで、メニューを見たときにその料理がどのような意図で作られているのかが手に取るように分かるようになります。
ルーツはトルコ系か中東・地中海系か
ケバブの歴史は古く、中央アジアの遊牧民が狩りで得た獲物を剣に刺して火で焼いたのが始まりと言われています。「ケバブ」という名称自体は、古くはアッカド語やアラビア語に由来しますが、現代の多様なスタイルを確立させたのはオスマン帝国の宮廷料理としてのトルコ料理です。ドネルケバブは19世紀のトルコ・ブルサで誕生した比較的新しいスタイルで、縦型に肉を焼くという画期的なアイデアから生まれました。
一方、シシカバブを含む串焼きスタイルは、トルコのみならず、イラン、アラブ諸国、ギリシャ(スブラキ)、アルメニアなど、地中海から中東全域に広く分布しています。それぞれの地域で呼称が異なり、例えばイランでは「ジュジェ・カバーブ」などと呼ばれ、使われるスパイスもサフランなど地域特有のものが選ばれます。つまり、ケバブという文化はトルコを中心に発展しながら、周辺地域の食文化と混ざり合い、現在のような多様なバリエーションを持つに至りました。
使う肉は薄切りか角切りかで食感が変わる
食感の違いは、満足度に大きく影響します。ドネルケバブに使われる薄切り肉は、何層にも重ねて圧力をかけながら焼かれるため、仕上がりはハムのような密度がありつつ、端の削り取られた部分はカリッとしたクリスピーな食感になります。この「薄さ」が、キャベツのシャキシャキ感やソースの絡みやすさを生み出し、パンに挟んだときに一体感のある美味しさを演出します。
それに対して、シシカバブの角切り肉は、噛みしめた瞬間に溢れ出す肉汁と、肉の繊維を感じる力強い食感が特徴です。一つ一つの肉が独立して焼かれるため、表面は直火でしっかりと焼き固められ、中はミディアムレアに近いようなジューシーさを残すことができます。ガッツリと「肉を食べている」という実感を味わいたいときにはシシカバブが最適です。また、肉の種類による違い(ラムの脂の甘みやチキンの弾力など)がより明確に伝わるのも、角切りならではの利点です。
火入れは炙りか直火焼きかで香りが変わる
調理における「火」の当たり方も、味に決定的な差を生みます。ドネルケバブは、肉の塊の横にある電気やガスのヒーターからの熱で「炙る」ように焼きます。長時間じっくりと遠赤外線で加熱されるため、肉全体が均一に温まり、脂がじわじわと表面を伝い落ちて肉全体をコーティングします。これにより、マイルドでコクのある香ばしさが生まれます。
一方のシシカバブは、炭火やグリルによる「直火焼き」が基本です。火の上に直接肉を置くため、脂が炭に落ちて上がる煙が肉に独特のスモーキーな香りを纏わせます。この「煙の香り」こそがシシカバブの真骨頂であり、シンプルながらも野性味あふれる風味を際立たせます。炙りによる均一な旨味か、直火によるエネルギッシュな焦げの香りとジューシーさか、その日の気分によって選ぶ楽しみがあります。
野菜や米との組み合わせ方が違う
付け合わせとのバランスにもそれぞれの流儀があります。ドネルケバブの場合、主役はあくまで肉とパン、そして大量の生野菜です。特に日本では千切りキャベツが定番ですが、本場ではトマトや玉ねぎ、パセリをたっぷり添えます。野菜は「生」のまま一緒に食べることで、脂っこさをリセットし、スナック感覚で最後まで飽きずに食べられる工夫がされています。
シシカバブの場合は、肉と一緒に串に刺して焼いた「加熱した野菜」が相棒です。焼くことで甘みが凝縮されたトマトやパプリカ、ししとうなどは、肉の強力なパートナーとなります。また、主食はパンだけでなく、バターやスパイスで香り付けされた長粒種のライスが添えられることが非常に多いです。お米の上に肉を乗せ、焼き野菜を崩しながら一緒に混ぜて食べるスタイルは、食事としての完成度が非常に高く、一食の満足感が非常に高いのが特徴です。
お店で迷わないための注文とメニューの見分け方
ケバブショップやトルコ料理店に行くと、たくさんのカタカナ用語が並んでいて戸惑うことがあります。しかし、いくつかのキーワードさえ覚えておけば、自分の好みにぴったりのメニューを迷わず選べるようになります。
ドネルケバブとシシの表記に注目する
メニューを開いたとき、まず探すべきは「ドネル(Doner)」と「シシ(Shish / Sis)」の文字です。前述の通り、ドネルとあれば「大きな肉の塊を削った薄切り肉」が出てきます。屋台で見かけるおなじみのケバブを食べたいなら、迷わず「ドネルケバブ」を選びましょう。
一方で、より本格的な串焼き、または塊肉を楽しみたいなら「シシ」または「シシカバブ」と書かれたメニューを注文してください。もし「ミックスケバブ」という選択肢があれば、ドネルとシシの両方が盛り合わせになっていることが多く、初めてのお店で味を比較したい場合には非常にお得なメニューです。また、羊のひき肉を串に巻き付けて焼いた「アダナケバブ」という、少しピリ辛でジューシーなひき肉タイプのものもあるので、シシカバブとセットで覚えておくと選択肢が広がります。
ソースの辛さは後から調整できることが多い
注文時に必ず聞かれるのがソースの種類です。一般的には「甘口(マイルド)」「中辛(ミックス)」「辛口(ホット)」の3段階から選ぶスタイルが多いです。もし初めてで辛さが不安なら、まずは甘口か中辛を選んでおくのが無難です。ケバブの辛口ソースは、お店によっては本格的なチリパウダーが効いており、かなり刺激的な場合があるからです。
また、多くの店舗ではカウンターにソースのボトルが置いてあったり、お願いすれば別の小皿でソースをくれたりすることもあります。まずはソースなしやマイルドな状態で肉そのものの味を楽しみ、途中から少しずつ辛味を足して「味変」をするのが、失敗しない賢い注文方法です。さらに、ヨーグルトベースの白いソース(ホワイトソース)があれば、辛口ソースと混ぜることでマイルドなコクが加わり、より重層的な味わいを楽しめます。
サンド・丼・プレートで満足感が変わる
提供される「器」の形によっても、食事のボリュームや体験が変わります。
- サンド(Sandwich): ピタパンに挟んだ定番スタイル。食べ歩きや、手軽なランチに最適です。
- ラップ(Wrap): トルティーヤのような薄い生地で巻いたもの。野菜がたっぷり入っており、サンドよりも食べやすいのが特徴です。
- 丼(Rice Bowl): 白米やお米のピラフの上にケバブを乗せたもの。日本独自のアレンジですが、ボリュームがあり、お腹いっぱい食べたい男性や学生に人気です。
- プレート(Plate): お皿に肉、サラダ、パンまたはライスが別々に盛り付けられたもの。ゆっくり食事を楽しみたい時や、ナイフとフォークを使って上品に食べたい時におすすめです。
利用するシーンに合わせて、これらのスタイルから最適なものを選んでください。
ハラールやアレルギーは事前確認が安心
ケバブはイスラム圏の文化から生まれた料理であるため、多くの専門店ではイスラム法に則った「ハラール(Halal)」認証を受けた肉を使用しています。そのため、豚肉が使われることは基本的にありません。しかし、鶏肉、牛肉、羊肉がミックスされている場合があるため、特定のお肉に対するアレルギーや苦手意識がある方は事前に確認しましょう。
また、ソースに卵(マヨネーズ)や小麦、乳製品(ヨーグルト)が含まれていることも一般的です。アレルギーをお持ちの方は、ソースをかけずに塩胡椒のみで提供してもらえるか相談してみると良いでしょう。本格的なお店ほど、ハラール対応については明確に表示していることが多く、食の禁忌がある方でも安心して利用できる環境が整っています。不明な点は、店員さんに「これはチキンですか?ビーフですか?」とシンプルに尋ねるだけで、親切に教えてもらえます。
家で再現するなら下ごしらえと焼き方がカギ
外で食べるケバブは格別ですが、実は家庭にある道具でも、少しの工夫で本格的な味に近づけることができます。薄切り肉と角切り肉、それぞれの調理のポイントを押さえて、おうちケバブを楽しみましょう。
ケバブ風は薄切り肉と下味で近づく
ドネルケバブのような食感を家で再現するには、スーパーで売っている「鶏もも肉の薄切り」や「豚肩ロースの薄切り」を活用します。ポイントは、肉を焼く前に最低30分、できれば数時間しっかりと下味に漬け込むことです。ヨーグルト、おろしニンニク、塩、ケチャップ、そしてクミンやパプリカパウダーを混ぜた特製ダレに漬け込むことで、肉が柔らかくなり、焼いたときに「あのケバブの香り」が立ち上ります。
焼く際は、1枚ずつ広げるのではなく、数枚を重ねた状態でフライパンに並べて焼くと、ドネルケバブのような適度な厚みとジューシーさが出ます。表面が焼けたら、包丁で細長く切ることで、お店で削ぎ落としたお肉のような見た目に近づけることができます。仕上げに強火でサッと表面を炙るように加熱すると、香ばしさが増してさらに本格的になります。
シシカバブは角切り肉を漬け込むと安定する
シシカバブを家で作るなら、2〜3cm角に切ったラム肉や鶏もも肉を用意しましょう。シシカバブを美味しくするコツは「マリネ(漬け込み)」にあります。オリーブオイル、レモン汁、塩、胡椒に加えて、ドライオレガノやタイムを多めに入れた液に一晩漬け込んでください。オイルの効果で焼いたときに表面が乾かず、中までしっとりと仕上がります。
串に刺す際は、肉の間にお好みの野菜(赤パプリカやズッキーニ、厚切りの玉ねぎなど)を挟みます。野菜から出る水分が肉に蒸気のように当たり、ふっくらと焼き上がります。もしラム肉を使う場合は、少し脂身のある部分を混ぜて刺すと、焼いている最中に脂が全体に回り、パサつきを防ぐことができます。串の先端を少し空けておくと、ひっくり返しやすくなるので調理がスムーズです。
フライパンでも香ばしさを出せる
「炭火がないと美味しくないのでは?」と思われがちですが、フライパンでも十分に美味しく作れます。成功させる秘訣は「フライパンをしっかり予熱し、あまり触りすぎないこと」です。肉を入れたら、綺麗な焼き色がつくまでじっと待ちます。メイラード反応による茶色い焦げ目が、ケバブ特有の香ばしさを生み出します。
フライパンに入り切らない長い串を使う場合は、魚焼きグリルを活用するのも手です。グリルの強い直火はシシカバブの調理に非常に向いています。焼き上がりの直前に、バターを少量フライパンに溶かして肉に絡める「アロゼ(油をかける調理法)」を行うと、まるでお店のプレート料理のようなリッチな風味が加わります。最後に蓋をして1分ほど休ませることで、肉汁が落ち着き、より美味しくいただけます。
作り置きは冷凍と温め直しで失敗しにくい
ケバブは作り置きにも適した料理です。たくさん焼いて余ってしまった場合は、1食分ずつ小分けにして冷凍保存しましょう。解凍して温め直す際、電子レンジだけで加熱すると肉が固くなったり、脂が分離してしまったりすることがあります。おすすめは「少量の水を振りかけてからレンジで半解凍し、最後にフライパンやトースターで表面をカリッとさせる」方法です。
また、下味に漬け込んだ状態の生肉を冷凍しておく「下味冷凍」も便利です。使いたい日の朝に冷蔵庫に移して解凍しておけば、夕食時には焼くだけで本格的なケバブが楽しめます。ソースもマヨネーズやヨーグルトベースのものなら数日は冷蔵庫で持ちますので、お肉と一緒に作り置きしておけば、忙しい平日でも簡単にエキゾチックなディナーを完成させることができます。
まとめ|ケバブとシシカバブは「形」と「食べ方」で選ぶと満足しやすい
ケバブとシシカバブの違いを整理すると、回転しながら薄く削るのが「ドネルケバブ」、串に刺した塊肉を焼くのが「シシカバブ」です。手軽にワンハンドで楽しみたい時はサンドスタイルのケバブ、肉のジューシーさをしっかり味わいたい時はプレートスタイルのシシカバブを選ぶのが満足への近道です。
味付けやスパイス、歴史的な背景を知ることで、これまで以上にこれらの料理が身近に感じられるはずです。お店で見かけたとき、あるいは自宅で料理をする際、ぜひ今回のポイントを思い出して、自分好みのケバブライフを堪能してください。スパイスの豊かな香りとジューシーなお肉が、いつもの食卓をパッと華やかに彩ってくれることでしょう。

