日々の食生活で健康を意識する方が増え、オリーブオイルの人気も高まっています。しかし、「本当に体にいいのか」「どれを選べばいいのかわからない」と悩む方も多いものです。巷にはさまざまな情報があふれ、正確な知識を持たずに選んでしまうことも少なくありません。
この記事では、オリーブオイルの健康効果や選び方、リスクについて、分かりやすく解説します。信頼できる情報とともに、日々の食生活に役立つポイントをお伝えします。
オリーブオイルが体にいいは本当か嘘か正しく知ろう

オリーブオイルが健康に良いと言われる理由や、その裏にある誤解について一度整理してみましょう。正しい知識を持つことが健康への第一歩です。
オリーブオイルに関するよくある誤解と真実
オリーブオイルを健康に良い食材と考える方は多いですが、実は誤った情報も少なくありません。たとえば、「オリーブオイルを使えばどんな料理も健康的になる」というイメージや、「どのオリーブオイルも同じような効果がある」といった思い込みが広がっています。
しかし、すべてのオリーブオイルが同一の品質や栄養価を持つわけではありません。また、オリーブオイルだけで健康が維持できるということもありません。オリーブオイルには種類があり、抽出方法や精製度によって含まれる成分に違いがあります。うわさや広告だけに頼るのではなく、ラベルや成分表を確認する習慣を持つことが大切です。
さらに、「油はすべて体に悪い」という考え方も誤解のひとつです。オリーブオイルは脂質ですが、体に必要な脂質をバランス良く摂ることが健康維持につながります。日々の食生活での使い方や量に気をつけることが、とても重要です。
科学的データが示すオリーブオイルの健康効果
オリーブオイルの健康効果は、多くの研究で検証されています。特に、地中海沿岸地方の人々がオリーブオイルを多く摂取し、心臓病の発症率が低いことが知られています。これはオリーブオイルに含まれる「オレイン酸」や「ポリフェノール」といった成分が関係していると考えられています。
具体的には、オレイン酸は血中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを維持する働きがあるとされています。また、抗酸化作用のあるポリフェノールは、体の老化や生活習慣病のリスク低減にも期待されています。これらの効果は、科学的な実験や疫学調査で裏付けられています。
ただし、効果はあくまで適切な量の摂取とバランスの取れた食生活を前提としています。オリーブオイルだけを大量に摂取しても、健康が大きく向上するわけではありません。他の食品との組み合わせや、生活習慣全体を見直すことが重要です。
オリーブオイルの摂取で注意すべきポイント
オリーブオイルは体に良いイメージが強いですが、摂りすぎには注意が必要です。どんな油もカロリーが高く、使いすぎるとエネルギー過多になりやすくなります。健康のためには、1日の適量を守ることが大切です。
また、加熱調理に使う場合はオリーブオイルの種類によって発煙点(煙が出る温度)が異なります。発煙点を超えて加熱すると、栄養が壊れたり、好ましくない成分が発生する可能性があります。生で使う場合と加熱調理で使う場合で、オリーブオイルの種類を選び分けるようにしましょう。
さらに、保存方法も重要です。オリーブオイルは光や熱に弱く、長期間保存すると風味が落ちたり、酸化してしまうことがあります。直射日光を避けて冷暗所で保存し、開封後はできるだけ早めに使い切るよう心がけましょう。
健康情報の見極め方と信頼できる情報源
健康情報はテレビやインターネットで気軽に手に入りますが、すべてが正しいとは限りません。商業的な宣伝や一部の意見だけで判断せず、複数の信頼できる情報源を確認することが大切です。
信頼できる主な情報源の例を以下にまとめます。
情報源の種類 | 具体例 | 特徴 |
---|---|---|
公的機関 | 厚生労働省、消費者庁 | 科学的な根拠に基づいた正確な情報 |
医療機関・学会 | 日本循環器学会、病院 | 医師や専門家による監修・推奨がある |
学術論文・書籍 | 専門書、論文 | 詳細なデータや研究結果が掲載されている |
また、情報を見極める際は「エビデンス(根拠)」の有無や、最新の情報かどうかを確認しましょう。むやみに信じず、冷静に比較・検討する姿勢を持つことが大切です。
オリーブオイルの健康効果とリスクを徹底解説

オリーブオイルの栄養や健康効果、注意すべきリスクを正しく理解することで、日々の食事に上手に取り入れることができます。
オリーブオイルに含まれる主な栄養素と特徴
オリーブオイルの主成分は脂質ですが、他の植物油とは異なる特徴があります。特に「オレイン酸」という一価不飽和脂肪酸が多く含まれており、体にやさしい油とされています。
オリーブオイルに多く含まれる栄養素と役割は以下の通りです。
・オレイン酸:悪玉(LDL)コレステロールを下げる働きがある
・ビタミンE:抗酸化作用があり、細胞の老化予防に役立つ
・ポリフェノール:活性酸素を抑制し、生活習慣病の予防が期待できる
このような成分の特徴から、オリーブオイルは日常的に取り入れやすい油として人気があります。ただし、どの栄養素も摂りすぎると逆効果になる場合があるため、適量を意識しましょう。
動脈硬化や心臓病との関係はどうなのか
オリーブオイルと動脈硬化や心臓病の関係については、多くの研究が行われています。特に、地中海食(地中海沿岸諸国で伝統的に食べられている食事)では、オリーブオイルが主要な脂質源として使われています。この食生活を送る地域では、心臓病の発症率が低いことが知られています。
オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は、血管を傷つける悪玉コレステロールを減らす働きがあるとされています。また、抗酸化作用のあるポリフェノールも、血管の健康維持に役立つと考えられています。これらの成分が、動脈硬化の予防や心臓病のリスク低減に寄与している可能性が高いです。
一方で、油を多く摂りすぎるとエネルギー過剰となり、肥満や他の生活習慣病のリスクが高まる点には注意が必要です。普段の食事バランスを見直し、適切な量を心がけるようにしましょう。
摂りすぎによる肥満や中性脂肪への影響
オリーブオイルは確かに健康効果が注目される油ですが、摂りすぎればカロリーオーバーにつながります。油は1グラムあたり約9キロカロリーと高エネルギーです。使いすぎると、体重増加や中性脂肪の増加を招くおそれがあります。
特にサラダやパンにたっぷりかけて食べるクセがある方は、思いのほか使いすぎている場合があります。健康効果を期待するなら、1回の使用量を計量スプーンで計ったり、油の量を意識的に調整することが大切です。
一方、適量を守っていれば、オリーブオイルが肥満や中性脂肪を直接増やすリスクは低いと考えられています。食事の全体バランスや他の食品との組み合わせを考えたうえで、取り入れるようにしましょう。
アレルギーや体質によるリスクもある
ごくまれにですが、オリーブオイルに対してアレルギー反応を示す方がいます。主な症状は、皮膚のかゆみや発疹、消化器症状などです。初めてオリーブオイルを使う場合や、アレルギー体質の方は少量から試すと安心です。
また、オリーブオイルは脂質が豊富なため、過剰摂取は胃腸に負担がかかることがあります。特に胆のう疾患や膵炎など、脂質制限が必要な持病がある方は注意が必要です。医師や管理栄養士に相談しながら、適切な量を摂るようにしましょう。
このように、オリーブオイルは体に良い反面、体質や健康状態によってはリスクもあることを覚えておくと安心です。
オリーブオイル選びの落とし穴と本物の見分け方

市場にはさまざまなオリーブオイルが並び、どれを選べばいいのか迷う方も多いでしょう。ここでは、選び方のコツと注意点をまとめます。
表示やラベルに潜む偽装や誤解に注意
オリーブオイルの表示やラベルには、消費者を混乱させる情報や、実際とは異なる印象を与えるものが含まれている場合があります。たとえば、「エクストラバージン」と記されていても、実際には精製された油が混ぜられていることが世界的な問題になっています。
また、「イタリア産」や「スペイン産」など原産国を強調した商品でも、実は他国産のオイルがブレンドされている場合があるため、表示だけでは中身を判断しきれないこともあります。これらの点を知っておくことで、より納得して商品を選ぶことができます。
購入時には、信頼できるメーカーや輸入元を選ぶほか、成分表示や認証マークを参考にすることをおすすめします。
エクストラバージンとピュアの違いとは
オリーブオイルにはいくつか種類があり、最も良く知られているのが「エクストラバージンオリーブオイル」と「ピュアオリーブオイル」です。その違いを知っておくことで、用途に合った商品選びができます。
エクストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実を搾って化学処理を行わずに作られる最高品質の油です。香りや風味が豊かで、サラダやパンなど生で使うのに向いています。一方、ピュアオリーブオイルは精製オイルとバージンオイルをブレンドして作られるため、香りや風味は控えめですが、加熱調理に向いています。
両者の特徴を表にまとめます。
種類 | 特徴 | おすすめの用途 |
---|---|---|
エクストラバージン | 香り・風味が豊か | 生食、サラダ、パン |
ピュア | クセが少なく軽い | 炒め物、揚げ物など加熱 |
この違いを知って使い分けると、料理の幅が広がります。
本物のオリーブオイルを見極めるポイント
本物のオリーブオイルを選ぶためには、いくつかのポイントがあります。まず、パッケージに「エクストラバージン」と明記されているだけでなく、採油方法や原産地、認証マークの有無も確認しましょう。特に、国際オリーブ協会(IOC)認証や、有機JASマークなどが付いていると品質の目安になります。
さらに、開封前でも香りや色である程度の品質が分かる場合があります。良質なオリーブオイルは緑がかった色合いで、フルーティーな香りが特徴です。購入後は、香りや味を確認してみましょう。不自然な苦みや油っぽさが強い場合は、劣化している可能性もあります。
また、価格が極端に安いものは、混ぜ物や品質の低下が疑われることもあります。信頼できる販売店や専門店で選ぶことが大切です。
日本と海外で異なる品質基準を理解する
オリーブオイルの品質基準は、国や地域によって異なります。たとえば、国際オリーブ協会(IOC)の基準を採用している国では、エクストラバージンと名乗るために厳しい検査が行われています。一方、日本では独自の基準を設けていますが、海外と比べて緩やかな部分もあります。
そのため、同じ「エクストラバージン」でも、海外と日本の商品で品質や特徴が異なる場合があります。輸入品を選ぶときは、生産国や認証マークの有無を確認しましょう。日本国内製造のものも、製造方法や原料の産地などをしっかり確認して選ぶことが大切です。
品質基準を知ることで、より納得して商品を選べるようになります。
オリーブオイルの上手な使い方と注意点

オリーブオイルの健康効果を活かしつつ、おいしく安全に使うためのコツや注意点を紹介します。
加熱調理で壊れる栄養と発煙点の話
オリーブオイルは生のまま使うだけでなく、炒め物や揚げ物にも利用されています。しかし、加熱しすぎると栄養素が壊れたり、風味が損なわれることがあります。
特に気をつけたいのが「発煙点」です。発煙点とは、油から煙が出始める温度のことです。オリーブオイルの発煙点は種類によって異なり、エクストラバージンは約180℃、ピュアオリーブオイルは約200℃です。これを超えて加熱すると、油が劣化し、体に望ましくない成分が発生する可能性があります。
加熱調理をする場合は、火加減を調整し、発煙点を超えないように注意しましょう。また、オリーブオイルは生で食べることで本来の香りや栄養が活かせるため、調理法に合わせて適切に使い分けることが大切です。
サラダやパン以外のおすすめ活用法
オリーブオイルはサラダやパンにかけるだけでなく、さまざまな料理に活用できます。たとえば、炒め物やパスタの仕上げ、スープやマリネに加えるなど、幅広い用途があります。
おすすめの使い方をいくつか紹介します。
・和風ドレッシング:しょうゆとレモン汁を加えて、和風サラダに。
・スープのトッピング:仕上げに少量垂らしてコクをプラス。
・グリル野菜:焼き野菜にかけて風味を引き立てる。
・パスタソース:バジルやトマトと合わせてイタリアンテイストに。
これらの工夫で毎日の食卓を彩ることができ、飽きずにオリーブオイルを楽しめます。ぜひいろいろな料理に取り入れてみてください。
賞味期限や保存方法で味と品質を守る
オリーブオイルは生鮮食品と同じように鮮度が大切です。開封後は酸化が進みやすくなり、風味や健康効果も落ちてしまいます。購入するときは、賞味期限を必ず確認しましょう。
保存のポイントは以下の通りです。
・直射日光を避け、冷暗所で保存
・開封後は3か月から半年以内を目安に使い切る
・蓋をしっかり閉めて空気に触れないようにする
冷蔵庫で保存すると固まる場合がありますが、常温(15〜20℃程度)の場所であれば問題ありません。適切に保存して、風味豊かなオリーブオイルを長く楽しみましょう。
1日の適量と健康的な摂取目安
オリーブオイルの健康効果を期待するためには、1日の適量を守ることが大切です。過剰摂取はカロリーオーバーにつながり、健康を損なう原因にもなるため注意しましょう。
一般的には、1日あたり大さじ1〜2杯(約15〜30ml)が目安とされています。この量であれば、脂質の摂りすぎを心配することなく、オリーブオイルの良い成分を摂ることができます。ただし、食事全体のバランスや体格、活動量によって適量は異なるため、自分に合った量を意識してください。
油は他にもさまざまな食品に含まれているため、全体の脂質量も合わせてチェックすると安心です。
よくある質問と信じやすい嘘への答え
オリーブオイルに関するよくある疑問や、間違った情報について正しく解説します。
オリーブオイルで本当に痩せるのか
「オリーブオイルを摂ると痩せる」といった話を耳にすることがありますが、油自体にはカロリーがあり、摂りすぎれば体重増加につながる可能性があります。
一方、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は、腹持ちが良く、食欲を抑える効果が期待できるという研究もあります。また、糖質や飽和脂肪酸の多い油をオリーブオイルに置き換えることで、健康的なダイエットをサポートすることができる場合もあります。
ただし、オリーブオイルを摂っただけで自然に痩せるわけではなく、食事全体のカロリーやバランス、適度な運動が不可欠です。油の摂取量を調整し、健康的な生活習慣を心がけましょう。
オリーブオイルは加熱調理に使っても安全か
オリーブオイルは加熱調理にも使えますが、発煙点に注意が必要です。エクストラバージンオリーブオイルは発煙点が比較的低く、中火以下の調理がおすすめです。高温での揚げ物にはピュアオリーブオイルの方が向いています。
発煙点を超えると、油が劣化して健康に良くない成分ができるため、火加減に気をつけて調理しましょう。また、オリーブオイルは加熱しても有害なトランス脂肪酸がほとんど発生しないので、使い方を守れば安心です。
生で使う場合とは違い、加熱調理では香りや風味がやや損なわれる点も覚えておきましょう。
オリーブオイルの毎日摂取は危険か
適量を守れば、オリーブオイルを毎日摂取しても健康に大きな問題はありません。ただし、どんなに体に良い油でも、過剰に摂ればカロリーオーバーや肥満、脂質の摂りすぎにつながります。
また、体質や持病によっては脂質制限が必要な場合もあるため、ご自身の健康状態に合わせて利用しましょう。1日大さじ1〜2杯を目安にし、全体の食事バランスを重視することが大切です。
油の種類をローテーションすることで、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることもできます。
体に悪いという噂の根拠を検証
「オリーブオイルは体に悪い」という声も一部で見られますが、これは摂りすぎや保存方法の誤りが原因であることが多いです。油の酸化や劣化した状態での摂取は、健康に好ましくない影響を及ぼすことがあります。
また、カロリーが高いため、摂取量をコントロールしないと肥満や生活習慣病のリスクが高まります。しかし、適量を守り、鮮度の良いオリーブオイルを正しく使うことで、健康を損なう心配は少ないといえます。
噂や一部の極端な意見に惑わされず、信頼できる情報を参考に判断しましょう。
まとめ:オリーブオイルと健康情報の真偽を見極めるために大切なこと
オリーブオイルは適切に選び、使い方や量に気をつければ、健康的な食生活をサポートしてくれる存在です。しかし、誤った情報や極端なうわさに左右されず、複数の信頼できる情報源から正確な知識を得ることが重要です。
日常の食事に取り入れる際には、商品の品質や保存方法にも注意し、自分や家族の体質や健康状態に合わせて使い分けましょう。健康情報を見極める力を身につけることで、安心してオリーブオイルを楽しむことができます。