浜松の銘菓「うなぎパイ」は、日本で愛される定番のお土産です。しかし、イギリスでその名を聞くと、現地の伝統料理である「イールパイ(うなぎのパイ)」と混同され、驚かれることがあります。両者の違いや現地での楽しみ方、持ち込む際の注意点を詳しく解説します。
うなぎパイをイギリスで探す前に知っておきたいこと
日本の「うなぎパイ」とイギリスの「Eel Pie」は、名前こそ似ていますが、中身は全くの別物です。イギリスでこのお菓子を探したり、話題に出したりする前に、まずはその定義と背景を整理しておきましょう。文化の差を知ることで、現地での会話もより弾むようになります。
「うなぎのパイ」ではなく“浜松みやげ”としてのうなぎパイ
静岡県浜松市の「春華堂」が製造するうなぎパイは、厳選されたバターと小麦粉、そして「うなぎのエキス」を隠し味に練り込んだ甘いお菓子です。職人が手作業で何層にも折り重ねたパイ生地は、サクサクとした軽い食感と香ばしさが特徴です。日本では「夜のお菓子」というキャッチフレーズでも知られ、家族団らんの時間を彩るスイーツとして定着しています。
これをイギリスの人に説明する場合、まず「ビスケットやペストリーの一種」であることを強調するのが良いでしょう。魚の身がそのまま入っているわけではなく、あくまで風味の深みを出すためにエキスが使われている「甘いお菓子」であることを伝えないと、食文化のギャップに驚かれてしまう可能性があります。日本を代表するご当地スイーツとしての立ち位置を正しく伝えることが大切です。
イギリスの「Eel Pie」と混同しやすいポイント
イギリス、特にロンドンの東部(イーストエンド)には、伝統料理としての「Eel Pie(イールパイ)」が存在します。これは、ぶつ切りにしたウナギをパセリのソースで煮込み、パイ生地で包んで焼き上げた「お食事パイ」です。かつてテムズ川で豊富に獲れたウナギは、労働者階級の貴重なタンパク源であり、現在もマッシュポテトと一緒に提供する「パイ・アンド・マッシュ」として親しまれています。
そのため、イギリスで単に「Unagi Pie」や「Eel Pie」と言うと、多くの方はこの塩気のある温かい料理を想像します。日本のうなぎパイがバターの香る甘いデザートであるのに対し、イギリスのものは魚料理そのものです。この混同を避けるためには、パッケージを見せるか、「Japanese Sweet Eel Biscuit」といった表現を用いることで、相手に正しいイメージを持ってもらうことができます。
現地で見つかる可能性がある場所と探し方のコツ
イギリス国内で日本のうなぎパイを直接購入できる場所は非常に限られています。ロンドンの「Japan Centre(ジャパンセンター)」や「Rice Wine Shop(ライスワインショップ)」といった日系スーパーマーケット、あるいはアジア系食材店で稀に取り扱われることがありますが、定番商品として常に棚にあるわけではありません。特に賞味期限や輸送のデリケートさから、入荷は不定期になりがちです。
現地で探す際は、お菓子コーナーだけでなく「Regional Souvenirs(地方銘菓)」の特設コーナーをチェックしてみてください。もし見つからない場合は、店員さんに写真を見せて取り寄せが可能か確認するのも一つの手です。また、イギリスのAmazonや日本食材のオンライン通販サイトでも出品されることがありますが、日本での販売価格に比べて数倍のプレミアム価格がついていることが多い点には注意が必要です。
見つからないときの代案も用意しておくと安心
どうしても「うなぎパイ」が手に入らない場合でも、似たような食感や日本らしさを楽しめるお菓子はイギリスでも手に入ります。例えば、三立製菓の「源氏パイ」は、イギリスの「Palmier(パルミエ)」というハート型のパイ菓子と見た目が非常に近く、現地の人にも受け入れられやすい味です。これらは日系スーパーだけでなく、大型のアジアスーパー(Wing Yipなど)でも比較的安定して販売されています。
また、サクサクとした食感やバターの風味を重視するなら、イギリス名物のショートブレッドをあえて日本風にアレンジした抹茶フレーバーのビスケットなども喜ばれます。うなぎパイの代わりとして、静岡県産のお茶を使った焼き菓子や、日本限定のキットカットなどを選ぶことで、日本のお土産文化の多様性を伝えることができます。「うなぎ」というキーワードにこだわらず、日本的な繊細な味を基準に選んでみてください。
うなぎパイを買うならこれ!入手しやすい候補まとめ
日本国内でイギリスへの手土産として購入する場合や、海外発送を検討する際におすすめの商品をまとめました。定番から高級ラインまで、目的別に選べるラインナップが魅力です。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| うなぎパイ(通常版) | 迷ったらこれ!王道のサクサク食感と絶妙な甘さ。 | 春華堂公式サイト |
| うなぎパイ V.S.O.P. | ブランデーが香る「真夜中のお菓子」。贅沢な大人の味わい。 | 春華堂公式サイト |
| うなぎパイ ミニ | ナッツや蜂蜜が入った小ぶりなサイズ。お子様にも人気。 | 春華堂公式サイト |
| 詰め合わせセット | 各種サイズが混ざっており、大人数への配布に最適。 | 春華堂公式サイト |
定番で外さない:春華堂 うなぎパイ(通常)/ミニ/ギフト箱
一番人気の通常版うなぎパイは、誰もが納得する安心の味わいです。イギリスへ持って行くなら、割れにくい箱入りのギフトタイプを選ぶのが基本です。小ぶりな「うなぎパイ ミニ」は、ナッツや蜂蜜が加えられており、通常のパイよりも少し密度が高く壊れにくいため、長時間の輸送にも適しています。ギフト箱であれば、日本の丁寧な包装文化も同時に伝えることができ、お土産としての格も上がります。
ちょっと特別感:うなぎパイ V.S.O.P./V.S.O.P.ミニ/詰合せセット
「真夜中のお菓子」として知られるV.S.O.P.は、高級ブランデーとマカダミアナッツをふんだんに使用したプレミアム版です。通常のうなぎパイよりも香りが華やかで、バターのコクもさらに深まっています。イギリス人は紅茶だけでなくアフターディナーにお酒を楽しむ文化もあるため、お酒に合うこのシリーズは非常に喜ばれます。大切な友人やホストファミリーへの特別な贈り物として最適です。
配りやすさ重視:個包装うなぎパイ/小箱タイプ/ミニ詰合せ
語学学校やオフィスなどで配る場合は、個包装が徹底されているタイプを選びましょう。うなぎパイは一つ一つが袋に入っているため、手軽に手に取ってもらえます。持ち運ぶスペースが限られているときは、10枚程度が入った小箱タイプをいくつか用意すると、パッキングの隙間に入れやすく便利です。ミニサイズの詰め合わせなら、一度にたくさんの人に日本のお菓子のクオリティを体験してもらえます。
代わりに喜ばれる:静岡茶のお菓子/和風パイ菓子/日本限定スイーツ
うなぎパイがどうしても用意できない場合や、追加でもう一品添えたいときは、同じ静岡県産の「お茶」を使ったスイーツがおすすめです。イギリスは世界有数の紅茶大国ですが、最近では「Matcha(抹茶)」への関心も非常に高まっています。抹茶味のゴーフレットやパイ菓子は、うなぎパイと同様のサクサク感を楽しめる上に、健康志向の現地の方にも非常に好意的に受け止められます。
うなぎパイはなぜ“うなぎ”なのか?味と材料のリアル
「うなぎパイという名前なのに魚の味がしない」という疑問は、初めて食べる方が必ず抱くものです。ここでは、そのユニークな原材料と美味しさの秘密、そして期待値を裏切らないための楽しみ方について深掘りします。
うなぎエキスは主張しすぎない香ばしさの役割
うなぎパイの最大の特徴である「うなぎ粉(エキス)」は、実は味の前面に出ることはありません。これはウナギの骨を乾燥させて粉末にしたもので、隠し味としてパイ生地に深みを与える役割を果たしています。魚の生臭さは一切なく、むしろ焼いたときに出る独特の香ばしさや、後味のコクを引き出すためのエッセンスとして機能しています。
さらに、仕上げに塗られる秘伝のタレには、ガーリック(ニンニク)が少々含まれています。これがバターの甘みと絶妙に調和し、「もう一枚食べたくなる」クセになる味わいを生み出しています。イギリスの方に原材料を説明するときは、「Umami(旨味)」を補強するためのエッセンスとしてウナギが使われていると伝えると、現代の食トレンドとも合致して納得してもらいやすくなります。
バター感とサクサク食感が評価される理由
うなぎパイが海を越えて高く評価されるポイントは、その圧倒的な「サクサク感」と「豊かなバターの香り」にあります。イギリスにはパイ生地を使った料理やビスケットが多く存在しますが、ここまで薄く、繊細に層を重ねたパイ菓子は珍しい部類に入ります。厳選されたフレッシュバターを使用しているため、一口噛むごとに良質な脂の甘みが口の中に広がります。
このクオリティの高さは、熟練の職人が生地を折り畳む工程を今も手作業で行っているからこそ実現できるものです。機械だけでは出せない不均一な層が、軽やかな歯ざわりを生みます。イギリスの濃厚なクロテッドクリームを添えてスコーンのように食べる習慣がある人にとっても、このバターたっぷりのパイは親しみやすく、かつ新しい驚きを与えることができる一品です。
「思ったより普通?」となるときの期待値調整
「うなぎ」という名前から、何か非常に奇抜な味や魚の風味が強い食べ物を期待している人にとっては、実際に食べると「意外と普通の美味しいパイだね」と感じられることがあります。これはお菓子としての完成度が高い証拠でもありますが、お土産として渡す際には、事前に「魚の味はしない、甘いバターパイだよ」と一言添えておくのが賢明です。
あくまでも「うなぎの栄養を家族で手軽に摂れるように」という願いから生まれた名前であることを伝えると、そのストーリー性が味以上の付加価値になります。奇をてらった味ではなく、日本の職人が真面目に作った高級パイであることを強調することで、期待値を正しく設定でき、食べたときの感動をより深めることができます。
おいしく感じやすい食べ方と飲み物の合わせ方
うなぎパイをより美味しく楽しむためには、飲み物とのペアリングが重要です。イギリスで楽しむなら、まずはミルクをたっぷり入れた「イングリッシュ・ブレックファスト・ティー」との組み合わせを試してみてください。バターのコクが紅茶の渋みを和らげ、最高のティータイムを演出します。また、意外な組み合わせとして、コーヒーやホットミルクもパイの甘みを引き立てます。
少し贅沢な楽しみ方として、バニラアイスクリームを添えてデザート風にするのもおすすめです。パイを少し砕いてアイスに乗せれば、食感のアクセントになり、レストランのデザートのような満足感が得られます。現地で友人たちと囲むときは、こうした食べ方のアイデアを提案することで、日本の伝統的な食べ方にとどまらない新しい楽しみ方を共有でき、場が盛り上がります。
イギリスに持って行くなら気になる保存と日持ちの話
海外へ日本のお菓子を持って行く際、最も心配なのが賞味期限と輸送中の破損です。うなぎパイを最高の状態でイギリスの友人に届けるために、押さえておくべき実用的なポイントを解説します。
賞味期限の見方と買うタイミングの考え方
うなぎパイの賞味期限は、製造からおおよそ60日(約2ヶ月)です。お土産用のお菓子としては標準的ですが、イギリスへの移動や、渡すまでの期間を考えると、できるだけ新しいものを購入するのが理想的です。出発の数日前に空港や直営店で購入すれば、現地に到着してからも1ヶ月以上の余裕を持って楽しむことができます。
イギリスの賞味期限表示は「Day/Month/Year」の順ですが、日本のパッケージは「Year/Month/Day」で表記されていることがほとんどです。渡す相手が混乱しないよう、必要であれば「Best before: April 15th」のように、現地の形式でメモを添えておくと親切です。鮮度が命の繊細なパイですので、期限内に美味しく食べてもらえるよう配慮しましょう。
湿気に弱いので開封後の保管が大事
イギリスは天候が変わりやすく、湿気が多い日も少なくありません。うなぎパイの命であるサクサクとした食感は、湿気に非常に弱いため、保管には注意が必要です。一度袋を開けてしまうと、すぐに空気中の水分を吸って食感が損なわれてしまいます。
もし一度に食べきれない場合は、ジップ付きの保存袋に入れるか、密閉容器に移して涼しい場所に保管するよう伝えてあげてください。また、日本から持参する際は、個包装の袋が破れないよう、外箱のまま持ち運ぶのが鉄則です。箱の中には緩衝材も入っているため、ある程度の振動からは守ってくれますが、カバンの底に入れたり重いものを乗せたりするのは厳禁です。
夏場の持ち歩きで気をつけたい温度と圧力
うなぎパイにはバターがふんだんに使われているため、極端な高温にさらされると風味が劣化したり、表面の砂糖が溶けてベタついたりすることがあります。イギリスは夏でも比較的涼しい日が多いですが、飛行機の預け入れ荷物が高温のコンテナに置かれたり、暖房の効きすぎた室内に放置したりするのは避けましょう。
また、航空機の機内は気圧が変化するため、未開封の個包装の袋がパンパンに膨らむことがあります。これにより、少しの衝撃で袋が破れたり、中のパイが割れたりしやすくなります。預け入れ荷物に入れる場合は、衣類などの柔らかいもので箱を包み、スーツケースの中心部に配置することで、圧力や衝撃を和らげる工夫をしてください。
お土産で渡すときの一言メモと気配り
イギリスの方にうなぎパイを渡す際は、簡単な説明を添えるだけで受け取った側の安心感が違います。例えば、「It’s a crispy buttery pastry, a famous souvenir from Hamamatsu. It contains a hint of eel extract for richness, but tastes sweet and delicious!」といった英語のメモを添えてみてください。
また、アレルギー表示についても一言添えると安心です。うなぎパイには小麦、卵、乳成分、大豆が含まれています。イギリスはアレルギーに対する意識が非常に高いため、成分表(Ingredients)を英語で説明できるようにしておくか、翻訳したリストを準備しておくと、よりスマートで心のこもった贈り物になります。
イギリスの「Eel Pie」との違いもついでに楽しむ
せっかく「うなぎ」というキーワードでつながっているのですから、イギリスの伝統的なうなぎ料理についても学んでみましょう。両者の違いをネタにすることで、現地でのコミュニケーションが格段に深まります。
Eel Pieはお菓子ではなく料理としてのパイ
先ほども触れた通り、イギリスのEel Pieは歴史あるスタミナ料理です。かつてのロンドンでは、安価で栄養価の高いウナギは庶民の味方でした。ウナギをゼリー状に固めた「Jellied Eels(ウナギのゼリー寄せ)」と並び、パイ仕立てにしたものは今でもイーストロンドンの専門店で提供されています。
日本のうなぎパイが「サクサク」しているのに対し、イギリスのEel Pieは「どっしり、しっとり」とした食べ応えがあります。中には骨つきのウナギが入っていることもあり、食べる際には少し注意が必要です。これを「日本ではお菓子にするんだよ」と紹介すると、その発想の転換にイギリスの人たちは興味津々になること間違いありません。
うなぎパイとの共通点は「名前だけ」と考えると分かりやすい
正直なところ、味も見た目も用途も、この二つのパイには「うなぎを使っている(かもしれない)」という名前以外の共通点はありません。しかし、その「ギャップ」こそが面白い話題になります。一方はお茶菓子、一方はランチ。一方は甘く、一方は塩辛い。
この対比を話のネタにすることで、「イギリスのEel Pieは食べたことある?」「日本のうなぎパイはどう思う?」といった会話のキャッチボールが生まれます。文化の違いを否定するのではなく、同じ素材が全く異なる進化を遂げた例として楽しむことが、異文化交流の醍醐味です。名前の類似性をきっかけに、お互いの食文化をリスペクトし合う素敵な機会にしましょう。
現地で“パイ文化”に触れるなら面白い体験になる
イギリスを訪れた際に、伝統的な「Pie and Mash」のお店に足を運んでみるのもおすすめです。白や黒のタイル張りの歴史ある店内で、ウナギのパイに緑色のパセリソース(リカー)をたっぷりかけて食べる体験は、イギリスの歴史を肌で感じる貴重な時間になります。
そこで本物のEel Pieを味わった後に、「実は日本にもうなぎパイというお菓子があってね……」と切り出せば、その場の雰囲気も和みます。イギリス人は自国の伝統を大切にすると同時に、ユーモアのある話題が大好きです。日本の銘菓とイギリスのソウルフードを比較する体験は、単なる観光以上の深い思い出になるでしょう。
うなぎ関連の話題で会話が広がる小ネタ集
さらに会話を広げるなら、日本の「土用の丑の日」の習慣について話してみるのも良いでしょう。「夏バテを防ぐためにウナギを食べる日がある」というエピソードは、イギリスのEel Pieがかつて労働者の活力源だった歴史と重なる部分があります。
また、「夜のお菓子」というキャッチフレーズの本当の意味(家族で過ごす夜の時間を大切にしようという願い)を説明すると、イギリスでも大切にされている「ファミリータイム」の価値観と繋がり、共感を得やすくなります。こうした小ネタをいくつか持っておくだけで、うなぎパイは単なるお菓子から、日本文化を伝える優秀なメッセンジャーへと変わります。
まとめ|うなぎパイとイギリスの関係をスッキリ整理して楽しむコツ
日本のうなぎパイとイギリスのEel Pieは、全く異なる魅力を持つ食べ物です。イギリスでお菓子としてのうなぎパイを味わうなら、輸送や保存に気を配りつつ、現地の文化との違いを笑顔で説明してあげてください。
「うなぎ」という不思議な縁で結ばれた二つの国のパイ。その違いを楽しみ、尊重し合うことで、美味しいお菓子はもっと特別なものになります。サクサクのうなぎパイを片手に、イギリスの友人たちと素敵なティータイムを過ごせることを願っています。

